良い塩梅(あんばい)

 物事がいい具合・ちょうど良い状態を「良い塩梅(あんばい)」とよく言いますが、「塩梅」とは塩や梅の酢などの調味料のこと。ちょうど良い味付けの様子から来ていると言われています。

 そんな言葉が生まれるくらい、私達が「美味しい」と感じる時に塩分濃度は結構大きく影響しています。また、その「ちょうど良い塩梅」と感じる塩分濃度は、体内の塩分濃度と関係しており、その料理や食材の食べ方によって異なります。参考までに私が料理研究家の先生に教わった塩分濃度の目安は次の通り。

肉・魚など固形物の主菜は1%
汁物は0.7%、つけ汁(麺)は3%
レタスなど葉物野菜は0.7~0.8%
カレー・丼ものなどは2〜3%

 葉物野菜などペラペラで薄いものや汁物は塩味を感じ易かったり、カレーや丼ものは食塩が入っていない白飯と一体となって塩分濃度を感じたりするので、このように差があります。味付けが元々濃い料理であるカレーの味を少々薄くしても、他の料理と比べると食塩の量はまだ多いという場合もあります。味付けを薄くする前に「選ぶメニューを変える」というのも美味しく自然に減塩するポイントです。

満足感のある食事

 味付けは料理の分量に対しての塩分濃度である程度決まるので、食べる量が多ければどうしても食塩を摂る量も増えます。その為、食事量が多い方は食塩を摂る量も多くなり、血圧が上がりやすい傾向があります(他の要因もあります)。減塩をしようとする際、食事量を摂り過ぎない事も重要なポイント。

 せっかく塩分50%カットの減塩みそ汁を選んでも、2杯飲んでしまうと普通のみそ汁1杯分と同じです。

 たまに「低糖質ダイエットを始めてから血圧が上がった!」と言う方がいます。これは食塩が入っていない白飯を減らした分、食塩の入ったおかずを食べる量が増え、結果的に食塩摂取量が増えている事が考えられます。白飯はそういったバランスを取る意味でも実は重要な役割を担ってくれています。

 現在、白飯を食べていなくて、おかずの味付けを薄くしようとしている方がいたら、まずは白飯を適量(150~180g程度)食べて、食事全体のバランスを整えてみて下さい。栄養バランスが整うと偏った食事よりも満足感を感じられるはずです。

塩分控えめに慣れるには時間がかかる

 味の感じ方は人によって、日々の習慣・慣れで変わってきます。濃い味付けに慣れてしまうと、平均的な味付けでも薄く感じます。しかしそれもまた、日々慣れて行けば薄く感じなくなります。

 日々の効果的な減塩のやり方はダイエットと同じで「少しずつ」。続かない無理をするよりも、続けられるくらいの程度で取り組む方が長期的に結果は良くなります。味付けを控え過ぎて量がもの足りず、食べ過ぎてしまうなら、味付けを薄くし過ぎず美味しく適量食べた方が良いです。

 何事も良い塩梅がオススメ。

夏場の塩分補給

 「塩分は減らした方が良い」とは言え、この時期になると塩の入ったスポーツ飲料や塩飴、塩タブレットなんかが売っていたりします。「あれ?夏は塩分を控えない方が良いのかな?」なんて心配になりませんか?

 よほど炎天下の中、何時間も立て続けに激しく動く方にとっては必要な場合もありますが、基本的に「普通に生活して汗をかく」程度では塩分をわざわざ補給する必要はありません。朝食を抜いたり、よほど偏食だったりしない限り普段の食事で十分足りています。

 例えば、朝食はバナナと牛乳を摂って、昼は忙しくて甘いお菓子で済ませて、なんていう方の食塩相当量は足りているか?足りていないのか?と問われると、足りていないかも知れませんが、そこで塩分だけ補給するならコンビニの具が入ったおにぎり一個でも食べた方が栄養バランス等は改善します。激しく動く程では無いけどちょっと動く…という方は、朝食に食塩を含む食事を摂れば大丈夫。卵かけご飯や納豆ご飯、みそ汁などでもOKです。それも過剰に摂る必要はなく、塩分は控えめくらいで十分に足ります。

食べ応えたっぷりのそうめん!

 「美味しさは塩分濃度の影響が大きい」と書きましたが、塩分濃度を下げても美味しく感じられる場合があります。それは旨味・香りを感じられる場合。野菜や出汁の旨味、スパイス・ハーブ・香味野菜などの香りを感じられると、料理の美味しさが十分に引き立ちます。今回はその一例としてレシピをひとつご紹介します。この暑い時期に嬉しい電子レンジ活用・塩分控えめ・夏バテ対策にもなるそうめんのレシピです。

 一般的なそうめんはめんつゆに付けて食べる状態で塩分濃度1.1%程度ですが、お酢や香味野菜を使い、美味しいまま塩分濃度を0.7%程度に抑えています。和え麺なので「汁を残さなきゃ」なんて心配もなし!丸ごと食べても大丈夫です。更に、そうめんを食塩ゼロ麺に、醤油を減塩醤油に替えると、食塩相当量を1.2g/人も減らす事が可能です。

 そうめんはパッケージをよく見ると、茹でた後の塩分量がほとんどのメーカーの商品に書いてあります。物によって食塩相当量の差が結構大きいので、購入する際はぜひ食塩相当量が少ないものを選んでみて下さい。

【食べ応えたっぷり!和えそうめん】

<分量(2人前)>(一人当たり476kcal、食塩相当量2.8g)

そうめん 4束(200g)
豚ひき肉 100g
ナス 1本
生姜 1かけ

a.醤油 小5(30g)
a.砂糖 小4(12g)
a.酢 大2(30g)

ピーマン 2個
かつお節 2g
ミニトマト 4個
ミョウガ 1個
大葉 5枚

<作り方>

①ミョウガと大葉は千切り、ミニトマトは縦半分に切る(トッピング)。ナスは拍子木切り、ピーマンは細切り、生姜はみじん切りにする(チューブのおろし生姜でもOK)。

②耐熱容器に豚ひき肉、ナス、生姜、a.を入れて混ぜ、ふんわりラップをして600Wで4分加熱する。(2分で一度取り出して混ぜると加熱ムラが軽減出来ます。)

③加熱が終わったらすぐにピーマン、かつお節も加え、混ぜる。

④鍋に湯を沸かし、そうめんを時間通り茹で、水でよくもみ洗いをし、ザル→キッチンペーパーでしっかりと水気を切る。

⑤水気を切ったそうめんを③に加えてよく混ぜ、皿に盛り付け、ミニトマト、ミョウガ、大葉をトッピングする。(③を冷まして、冷たくして食べても美味しいです。)



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